海外起業家(欧州編) 海外起業家インタビュー

海外起業家インタビュー(ロシア編)木下順介さん

木下順介さんへのインタビュー

香川県高松市生まれ。国際武道大学卒業。専門は少林寺拳法。ロシアでも国立ロシア映画大学に学ぶ。20才から役者として芸能活動を初め数々の映画やテレビで活躍。30才から始めた占いが大ブレーク。クライアントは世界各国に居る。現在も企業のコンサルタント、スポーツ選手、芸能人、アーテイストのメンタルケアに手腕を発揮している。2007年に短編映画「マスカケ線」の脚本監督を手がけ特にロシアで高い評価を受ける。2010年からモスクワ在住。

サイト: Junsuke Kinoshita    Facebook:"木下順介"

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

現在はこちらで映画を製作するために様々な準備をしています。ひとつの作品だけではなくいくつかの題材があるのですが、同時進行で進めている状態です。 映画の企画段階では収入が生まれないため、ロシアのテレビの監督やアジア人の役での役者としての出演なども日々行っています。

それとビジネスサポートという意味では、風水や占星術を使っての店舗デザイン、出店のタイミング、なども日本にいる時と同様に行っています。 そのサポートのクライアントは現在、日本とロシアを始め世界各国にいます。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

日本にいる時から1度も給料をもらう生活をした事がなく自然と、収入は自分で仕事を創って得る、という人生を歩んできました。そのためには仕事そのものの技術だけではなく、人間性などを始め様々な要素を問われるので、いかに自分自身を常に見つめて成長いていけるか、というテーマも人生の中で自分に課したテーマのひとつです。 ですから私の場合は起業という言葉に対する壁や準備があったわけでなく、意識しないうちにそういう人生だったパターンだと思います。現在起業するかどうかで悩んでらっしゃる方は、そこにすでに壁があるわけですね。この壁というのは不安や上手く行かなかった時の後悔を招いてしまいますから、現在、形として起業していようがいまいが、まずは起業家としての視点を磨き続ける、という事が先ではないかと感じています。

会社で今あなたが使っている机や電気、水道、オフイスの家賃に対してあなたはそれを意識して今の仕事に向かっていますか。簡単に出張と言いますが、交通費と今の給料を比較した事がありますか? そういう事全てが起業家の第一歩です。起業していなくても常にそういう視点で仕事をしていれば、確実に起業に向けて物事が進むし、その後も困難があった時にくじける事がないでしょう。

 

Q3: なぜ、ロシアで起業しようと思ったのですか?

2007年に日本で撮影した短編映画が2008年にロシアの各都市で上映されてそれが大きな評価を受けました。また2004年には風水の講演会をモスクワで開いた事もあります。その時に、同じ事での日本の評価とはまた違う形での評価をうけて、もし海外で活動するのならロシアを選ぼうと何となく思っていました。
占いでの起業やスポーツマン、芸能人などのサポートをするとともに私自身も自分の指針を考えたりするのですが、その時に2010年くらいから海外に行く星回りがあるという事を何となく知ってはいました。しかしそんなことは完全に忘れていたのですが、「良い条件の部屋が開いてるけど住んでみない?」というオフアーがモスクワからたまたま来たので、即決でモスクワに住む事に決めました。 決めてから日本での仕事の関係者などにあいさつに行き体制をつくるという感じでしたが、それも全てスムーズにいきました。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

こちらに移住する時にかかる諸々の資金が思ったよりもかかりました。

海外で生活するにあたり何かあったときのための資金の確保というのは重要になってくると思います。日本の家族に何かあった時や不慮の事故、病気などに備えて、起業にかかるお金とは別の自分自身がこれで安心と思える蓄えをお勧めいたします。この金額はひとそれぞれだと思います。

 

Q5: ロシアでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?
また、起業する際の注意点は?

これはロシアのみならず世界共通だと思いますが、仕事に対するその国の人の考えを的確に掴んでおく事、がポイントです。

日本人ほど組織に対して責任感のある国民はいません。一生懸命働く外国人が居たとしても、それは会社や社長のためでなく自分の人生やお金のため、です。そういう人は他に良い条件があれば簡単に次に行きます。 そういうその国の労働民度というものに振り回される苦労は意外に大きいです。特に飲食店などを起業しようと思ってらっしゃる方は、ここが大きなネックになってきます。ロシアはサービスという概念が薄いので、どこのお店も日本的考えだとやる気の無い店員(本人達はそれが普通で悪気は無い。普段はとても良い人)であふれています。

そしてもうひとつの大きなネックは法律です。

日本では大丈夫だと思っている事も、警察が賄賂をとるためだけの禁止事項だったり、住民との確執等、これも言葉の不自由な国での書類のやりとりは要警戒です。 それをクリアする方法は、自分の眼でしっかりと現地を見る、ということです。それも深く中に入って時間をかけて現地でのさまざまな慣習やお金に対する考え方などを身にしみ込ませて行く、という事が重要だと感じています。それ無しには、起業人にとって最も重要な本物の直感というものが養われないので結果的に判断ミスが多くなり無駄なお金を失ったりする危険もあります。

 

Q6: 起業してよかったと思うことは何ですか?

これはロシアの場合ですが、芸術大国なので映画や芸術に対しての尊敬がもの凄く大きいという事です。映画監督というだけで周囲から尊敬のまなざしで見られますし、作品に大しても日本の評論家以上に的確かつ芸術作品として評価してくれます。日本ですと肩身のせまい思いのあるこういう業種ですが、こちらではいっさいそんな事はありません。

それと日本ではあまり知られていませんが、ロシアでは日本の文化をとても高く評価していて皆さん日本が大好きです。日本人はロシアをあまり快く思っていませんが(全てアメリカの洗脳ですよ皆さん!)、日本人はとても尊敬されていて信用されています。日本食レストランも大繁盛しています。

 

Q7: ロシアで今後いけそうなビジネスは何だと思われますか?

日本の居酒屋は大ヒットすると思います。それと日本のホスピタリテイを働く人に浸透させるようなビジネスです。

まだこちらではそういう創造的付加価値にお金をかけるという考えが少ないです。しかし、目先の効く経営者の方はそれが必要だと感じているのも事実です。まだまだそれを受け入れる土壌が少ないのですが、今後はそれも大きな目玉になっていくと私は感じています。私も機会を創ってこういう部分に働きかけをしていきたいと考えています。

 

Q8: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

まずは、起業したら絶対に成功する、と決める事です。私の占いのクライアントの方でも、成功している方は技術や才能だけでなく、絶対に成功する、という何の理屈の裏付けも無い強い意志力を持っています。最初は不安が混ざっていてもそう思っているうちに意志力はどんどん強くなっていき盤石になるので、大丈夫かなとか壁を感じるのではなく、絶対成功する、と決めてしまう事です。強い意志力は自分で育てるものだと認識して下さい。何だそれ、と笑うかもしれませんがこれはとても重要な事です。

そして具体的には時間をかけても良いのでしっかりと現地で自分が生活する事ですね。何でも良いので現地でまずは働いてみるのも良いかもしれません。ただ何度も訪れていて雰囲気が良いから、というのは最初の動機としては素晴らしいですが、起業をそこでやるとなればもう1段階も2段階も現地に踏み込んで行く事が重要です。

それと単に雇われた立場でのビジネスだけでしたら通訳がいれば言葉の問題はクリア出来ます。しかし、現地で起業となれば現場で生のコミュニケーションが取れないとお客様のニーズや様々な動向などを掴む事が出来ません。ですから、語学も磨き続ける事が重要だと感じています。

強い意志力は育てるもの、ともう一度くりかえさせていただきつつ皆様の健闘を祈っております。

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